中公文庫
松井茂
- 作者: 松井茂
- 出版社/メーカー: 中央公論社
- 発売日: 1991/03
- メディア: 文庫
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1991年のイラクのクウェート侵攻直後に出版された本。
トルコ近代化を成し遂げたケマル・アタチュルクからエジプトのナセルに続く中東の俗世主義、社会主義の流れがあって。
中東式社会主義政党であるバース党により統治されたイラクは、神権政治イランの対極を行っていた。
なんたって政権にはキリスト教徒もスンニ派イスラム教徒もいたくらいで。
逆に神権政治を敷くイランなんて例えば無宗教者には選挙権なんてありゃしない。結構酷い。
なんつー感じで非常に面白かった。
著者はイラクに非常に思い入れがあるようで、イラン・イラク戦争でイラクの共和国防衛隊(リパブリカンガーズ)が劇的に活躍して勝利を収めた話があって。
そんで、最終的には「イラクはアメリカに対してベトナム戦争のようなゲリラ戦を挑み、戦争を長引かせることだろう」みたいなことが書いてある。
実際は地上戦始まるとすぐにイラク軍の戦線は崩壊して、全力で逃げ帰ったんだが…。
イランと同じく神権政治やってるサウジアラビアに米軍が基地借りたりしてるのはなんだかなぁと思うよね。
ともかく。
アメリカが理性的で正義だなんてこたぁ幻想にすぎないかなと思えてくる。
金満のクウェートのいけすかない連中を叩きのめしたのは良いことなのかなと思ってみたり。