吉川157/530三国志七

「神妙である。いずれ、劉蒴には、命じるところがあろう」
 曹操は、それを納め、諸員、万歳を唱えて、入城の儀式はまず終った。式がすむと彼は、まず荊州の旧臣中から蒯越をよび出して、
「予は、荊州を得たことを、さして喜ばんが、いま足下を得たことを衷心からよろこぶ」
 といって──江陵の太守樊城侯に封じた。
 以下、旧重臣の五人を列侯に封じ、また王粲や傅巽を関内侯に封じた。
 それから、ようやく、劉蒴にむかって、
「あなたは、青州へ行くがよい。青州の刺史にしてあげる」
と至極、簡単に命じた。 劉蒴は、眉を悲しませて、
「わたくしは、官爵に望みはありません。ただいつまでも亡父の墳墓のあるこの国にいたい」

してあげる?