なかなか為になる話

http://president.jp/articles/-/6903

Q チーフとして部下を7人かかえています。チームとして一体感がほしいのですが、優秀な部下とそうでもない部下とで、モチベーションにバラつきがあります。部下のモチベーションを上げるにはどのようにすべきでしょうか。(アパレル、女性、40歳、入社14年目)


A 部下のモチベーションが低い場合、原因は2つ考えられます。


ひとつは採用ミス。もうひとつは、上司目線から見た場合に、上司が部下をモチベートできていないことです(部下目線から言うと、モチベーションを上げることを上司に頼り切るのはNGです)。


採用ミスというと身もフタもないようですが、採用の失敗は教育では取り戻せません。上司は部下の気持ちにガソリンを注ぐことはできても、ブレーキを踏んでいる部下の背中を押すほど体力の無駄遣いはないのです。


僕は「採用させていただく方の色は何色で構わない」と思っています。何色が混ざっていても、それぞれの色には意味があると考えているからです。ただし、唯一の例外が黒色。ここでいう黒とは、ブラック=反社会的というか、規律や風土を乱す人です。ここは容赦しません。


ただ、真っ黒でない限りは、今いる部下を最大限に活用するのが上司の役割です。やる気のある部下とない部下を比較しても意味がありません。「バラつきがあるな」で終わらせていてはダメです。バラつきはあるのが当たり前です。


複数の部下を見るときに大切なのは、一つの尺度だけで部下を判断しない、ということです。Aさんの強みはBさんの弱みかもしれないけれど、違うモノサシで見れば、BさんはAさんにない強みを持っているかもしれない。部下の能力に関しては、総合的な視点で判断しなければいけません。また、一斉に号令をかければ全員が底上げされるというのは、ビジネスマンとして最低限のレベルまでです。


いつも言うように、マネージャーの仕事とは部下の強みに仕事をのせていくことです。そのためには個々の部下のことをよく知る必要がある。


まずは何か仕事をさせてみて、期待以上の成果を出したのはどんな場面だったかを覚えておくことです。期待以下の場合は弱みですから、そこを鍛えるよりは強みを伸ばしたほうがいい。そこで期待を上回った仕事をもう一度頼んでみる。今度もよくできたとすれば、それはその人の強みだと思って間違いない。


そして、大切なのは相手の強みを尊敬することです。


尊敬が最大の称賛ですから、部下は「この上司は自分のことをちゃんと見ていてくれる」とうれしくなり、また何か頼まれたらはりきってやってくれます。


でもしばらくしてその仕事が「できて当たり前」になると、退屈になってくる。そこで頃合いをみて少しずつ難しい仕事を与えていくようにします。


「今度はこれをやってみてよ。あなたならできるよ」


このようにして徐々に負荷をかけていけば、チーム全体の仕事の質も上がっていくというわけです。
そうして仕事の力量が上がっていくと、部下も仕事にプライドを持つようになります。そうすれば、自ら仕事が充実してくるものです。