整列乗車の作法

日本の東京都心部の電車では「整列乗車」という作法がある。(マスゲームであるという指摘もある。詳細はミコヤン−グレヴィッチ等の著書に当たるべし)
これは、非常識に高頻度な列車運行を可能とするために編み出された文化であり、日本以外でなされることはない。


標準的な整列乗車について説明する。


駅のプラットフォームには、列車が停止した際に各ドアが来る位置がマークされている。
日本の列車は、AIのアシストを受けた熟練した乗務員が制動を行う為ずれることはほぼない。
5cm以上ずれると服務規程違反で解雇となる。
ユーザーはこのマークに従って、各ドアの位置に三列縦隊を作る。
前後の間隔はプラットフォーム毎に定義されている為、各階段付近の表示を確認する必要がある。
一般的にプラットフォームが狭く、ユーザーが多い地下鉄は間隔を狭く取るようになっている。
列車を待つ間は何をしてても良いが、漫画雑誌以外の雑誌や、スポーツ専門紙以外の新聞を読むことは控えるべきであろう。忘れてはいけない、日本は全体主義社会主義国家なのだ。知識階層は毛嫌いされている。
列車がプラットフォームに入ってきたら、停車するまでに雑誌・携帯電話等は鞄にしまい、両手を開けておく。


列車の停止の瞬間から、次の号令がかかるまでは整列休めをして待つ。
この際、「整列休め!」の号令がかかる場合とかからない場合がある。
おおむね関東では号令あり、関西では号令なしとなっている事を覚えておくとあわてずに済むだろう。
(号令有無の詳細な分布についてはセルゲイ・コロリョフ等の著書に当たるべし)

顔は正面を向け、顎を引いて目線は10度上方を見ること。わからなければ車両のドアの上の縁を見ると良い。
列車が停止し、ドアが開くと乗客が三列縦隊で降りてくる。
ドアの前には乗車待機の三列縦隊があるが、その間の空間で降客の縦隊は右向け進め、または左向け進めで乗車待機列の脇を抜けて手近の階段に向かうため邪魔にはならない。


最後の降客が降りた瞬間、乗車待機列の列長が「気をつけ!」と号令を発する。
乗客は気をつけをする。
列長は次に「前へ、進め!」と号令を発する。
「前へ」と「進め」の間は4拍の間がある。5拍目にあわせて「進め」が発声され、6拍目で左足から前へ進む。
ドアをくぐり、車内に入ったら三列縦隊の左右の列はそれぞれ左右に、中央の列は偶数が右、奇数が左に別れることになる。


なお、列長は基本的に各乗車待機列の最前列右端の人間が務めることになるので、経験の浅い内はその位置には立たないこと。
特定の時間の特定の車両では、慣例で列長が固定の場合がある。
その場合は特に注意を要する為、付近の人間か駅員に確認すること。


以上で基本形の説明を終わる。
降車と乗車の間にドアの開閉が挟まる空間遮断型整列乗車や、次の列車だけではなく次の次の列車の待機列まで組む多段時間差型整列乗車(事故時等は次の次の次の列車まで待機列を作る超多段時間差型整列乗車が行われることも)がある場合もあるが、基本形を抑えていることで派生形は容易に身につけることができる。
まずは基本形についてよく復習し、練習するようにしたい。